【’15エクスセンス S1000MH/R(シマノ)】ワイルドコンタクトの総括

釣具は高価なものはキリがない。ただ、高価な釣具にはそれなりの良さがあることも事実。

ただ、ロッドについてはまたちょっと違うような気がする。ロッドばかりは他の釣具と比べても、長期間使い込んでみないことには本当の良し悪しは分からない。

メーカー公表のロッドスペックや製品説明,専属テスターによるインプレッションが、一般の人がロッドを購入する際の指標になるだろう。

しかし、スペックに表示されているルアーウェイトなんてメーカーやテスターがだいたいの感覚で決めるもの。厳密な基準なんて無い。
同じルアーウェイト範囲のロッドであっても曲がりがぜんぜん違うなんてことはざら。

人は言葉に心動く。メーカーやテスターによる言葉の妙に、惑わされることの方が多い。
「パワーファイト」なんて言葉を多用するロッドなんて、最たるもの。

ロッドが店頭にあれば実際に曲げたり振ったりできるが、それは単にティップを起点に曲げただけのことで、キャストや魚を掛けて曲げているのとは違う。
それだけでロッドのすべてが分かるはずもない。

そこで今回は、購入から4年間使い続けた’15エクスセンスS1000MH/R(ワイルドコンタクト1000)の総括をすべく、「気持ちいいロッド」とは何かを考えてみたい。

ワイルドコンタクトの良かった点

まずはワイルドコンタクトを使って良かったと感じた点について。

購入当初はサーフメインで使用するため、飛距離を最優先にワイルドコンタクトをチョイス。
その期待にはまぁ応えてくれたかな〜と。

「飛ばした感」がある

ワイルドコンタクトは反発力がかなり強い。そのため、力いっぱい振った時の「飛ばした感」は相当なもの。

ここではあえて「飛ばした感」という表現にとどめたのは、実際の飛距離はそんなにズバ抜けていないということ。

確かに「硬くて曲がる」の言葉どおり、芯がしっかりして反発力がとても強い感触ではあったものの、実際の飛距離はそこまで飛び抜けたものではなかった。

「そこまで」というと語弊があるが、実際の飛距離は充分。

だけど〜・・・今思うと、そこまで極端に飛距離を出せているわけではない。

同じ10フィートのロッドと比較しても、30gのメタルジグフルキャストで平均5メートル程度の差が出てるかな〜といった程度。

この差を「相当なもの」と捉えるか「微々たるもの」と捉えるかは人によって異なるだろうが、硬さや反発力からくるキャストの満足感は間違いなくあったよね。

高感度

ティップの張りが強いので、感度が非常に高い。

ボトムコンタクトを頻繁にするサーフの釣りでは、ボトム感知能力は確かに高かった。それゆえ根掛かり回避能力も高く、軽い根掛かりだったらティップをシェイクすれば外すこともできた。

このボトム感知,根掛かり回避能力の高さは、伊豆でのハタゲーで非常に役に立った。

特にゴロタ場でのハタゲーではその効果が高く、MJリグを使い少ない根掛かりで好釣果を得ることができた。

グリップ形状

このワイルドコンタクトを使って最も印象的だったのが、実はブランクス以上にこのグリップ形状。

10フィートのロングロッドだが、リールフット部分のグリップは手のひらになじむ形状で、軽い握りで扱える。

EVA製で滑りにくく、余計な力を入れることなく扱える。

リールフットはアップロック式だが、使用中の緩みは一切なし。
これまで、グリップ回りで不安を感じたことは一切なかった。

ワイルドコンタクトのここがイマイチ

上記の良かった点については、ワイルドコンタクト購入当初の期待どおりの内容だった。

ただ、使い続けていると、それなりの不満点も。

そんな不満点を率直に述べてみたい。

折れやすい

購入から4年もの間に折れたのは2回、しかもすべてバット側。


強いロッドのイメージがあったが、いずれもキャスト時にバット部分から折れたのにはガッカリ。

5万円以上のロッドはそれなりの強度があるものと思い込んでいたが、こんなに折れやすいようじゃぁ不安しか残らない。

エクスセンスではレーシングカーのような性能をイメージしているのかもしれないが、5万円を超えるロッドなら耐久性は大前提としてもらいたかった。

バレやすい

「張りがあるロッドあるある」にはなるが、ワイルドコンタクトはちょっとバレやすい。特に足元近くでのバラシが多かった。

ワイルドコンタクトは「硬くて曲がる」をモチーフとしている。

使ってみると確かにその通りなのだが、「曲がる」のイメージが「魚の引きに追従して曲がる」というより、「突っ張ったまま曲げに耐えている」という感覚。

そのため、足元まで寄せると充分曲がってくれず、魚が暴れたときはバレやすかった。

特にサーフよりも、足場の高さがある場所でのバラシは顕著だったね。

先重り感が強い

ワイルドコンタクトの全重量は150g。10フィート台のロッドとしてはかなり軽い。

しかし、ロッド操作や魚とのやり取りでは張りが強いゆえ、先重り感があった。

特に感じたのは、数年前に力を入れた伊豆のハタゲーでのこと。

飛距離重視で10フィートのワイルドコンタクトを中心に使っていたが、張りが強いためハタが掛かると強烈な引きでロッドを立てるのがかなりしんどかった。

強引に底から引き剥がしてゴリ巻きを試みるも、意外と根に潜られることも多かった。

1シーズンハタゲーをやり通して思ったことは、「ハタゲーでもロッドが堅けりゃいいってもんじゃない」ということ。

ロングロッドで張りが強すぎると、いくら軽くても先重り感を感じてしまう。

逆に曲がるロッドの方が引きに耐えることができ、魚の体力を消耗させやすく、逆にハタを浮かすのが容易であることも分かった。

つまり、単純に硬ければパワーファイト向きとも言い切れない。ある程度のしなやかさもロッドには必要であることが改めて分かった。

キャスト時のリリースポイントが狭い

これはすでに過去記事でも述べていたことだが、キャスト時にラインを放出するタイミング、つまりリリースポイントが狭い。

張りが強いロッドなので、キャストで曲げるには一定以上の力が必要。さらにリリースポイントの範囲が狭いので、慣れないとミスキャストしやすい。

ただし、リリースポイントがバッチリ合うと、スカッと気持ちよく飛ばすことができる。

なので、このリリースポイントが限られるという点については、人によってはデメリットになるし、別の人によってはメリットともなりうる。

ただ、自分にとってそれが「気持ちよく扱える」かというと、それは違うかな〜と。

トルザイトリングは不要?

トルザイトリングはSICに比べて薄くて軽量なのがメリットとされている。

ただ実際に使ってみると、ラインとの擦れる音が。

特に、メタルジグを使ったラインテンションが掛かるような釣りで顕著だった。

ラインがガイドに擦れてあれだけの音がするんだから、ラインに負荷が掛かっているのではと不安になる。

実釣ではそれによるマイナスの影響は出ていなかったが、SICリングでは出たことない現象だっただけに、ちょっと気になるところではあった。

そもそもこれだけ張りの強いブランクスに、トルザイトリングを採用してまで軽量化する意味があっただろうか?

高く売るためのトルザイトリング採用、そう思えてしまう。

総括

4年間使い続けたワイルドコンタクト。

当初の自分の狙い通りのロッドであったことは間違いない。

ただし、これが今の自分にとって理想のロッドなのかというと、それはちと違う。

「使ってて気持ちいいロッド」というフレーズを聞くことがあるが、その気持ちよさは人によっても感じ方が異なる。

力いっぱい振って飛ばすのを気持ちいいと思う人もいれば、軽い力でしっかり曲げて飛ばすのを気持ちいいと思う人もいる。

ワイルドコンタクトを購入した当時、同時にラフサーフ88も購入。

当時はサーフで飛距離重視に10フィートのワイルドコンタクトをメイン、操作性重視に8.8フィートのラフサーフをサブに考えていた。

しかし、双方を使い続けていくうちに、ラフサーフがメインロッド、ワイルドコンタクトがサブロッドへ。つまり、当初とは逆になっていた。

その理由は、「使って気持ちのいいロッド」がラフサーフと気づいたから。

自分が今思う「使って気持ちのいいロッド」の定義が、購入当時とは明らかに変わった。

ワイルドコンタクトのこれまでの使用感を思うと、「気持ちいいロッドだったか?」と問われたら、そうとは言い難いものだった。

間違いなく購入当時の要求は満たせたロッドだったが、今の要求は満たせていない。


おそらく、こんな経験を重ねながら、自分に合うロッドというのが分かってくるのだろうね。

もちろん、ワイルドコンタクトが悪いロッドとは思わない。ただ単純に自分の要求に合ったロッドではなかったということ。

レーシング仕様のロッドは、おとうちゃんアングラーにはふさわしくなかっただけのこと。

今回はそんなワイルドコンタクトの総括ではあったが、今後のご自分のロッド選びに活かしていただきたい。

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コメント

  1. ちゃー より:

    こんばんは。
    スナイプが着弾しまして、釣行を重ねていますが、オリジナルのRGガイド部分の2つはSicリングなんですよね。
    私の勝手な憶測ですが、小口径のバットガイドで収束させるガイドシステムなので、トルザイトリングの糸鳴りの違和感を感じさせない様に、敢えてSicリングを採用していると思います。
    残りの14個のガイドは、トルザイトリングです。
    実際に糸鳴りは、全く気になりません。
    っていうか、スルッと出過ぎて気持ち悪い(笑)
    ちなみにKガイドシステムの方は、全てトルザイトリングみたいですね。
    最新の素材も適材適所なんだと思います。

    • ゆたりな より:

      ちゃーさん、コメントありがとうございます!
      おぉ、スナイプ!届きましたか!おめでとうございます!

      SICリングの部分というのは、バット側の2つということですね。ワイルドコンタクトも、そのバット側のリングで軋む音がします。ただ、キャスト時には音は鳴らず、ショアスローでテンションをかけたときに鳴りますね。キュッキュッて。

      SICも硬度はあるけど脆いし。アルコナイトでも充分なような気がします。
      正直、SICほどのビッカーズ硬度は、通常の釣りでは過剰品質だと思ってます。