今回は、ロッドの継ぎ目をケアするフェルールワックス。
フェルールワックスとは、継ぎ目部分に塗ることで複数ピースあるロッドの継ぎ目を保護し、抜けや破損を防止するための。
知っている限りでフェルールワックスを販売しているのは、スミスとティムコのみ。
以前から2ピースロッドを使用しているが、キャスト中にティップ側がすっ飛んだとか、逆に固着して抜けなくなったなんてことは確かに多かった。
破損まではしなかったものの、使用中に何度も継ぎ目を入れなおさなければいけないことにかなりストレスを感じていた。
そんな時、このフェルールワックスの存在を知り、即座に入手。
これを使ってからは、こうした継ぎ目の悩みが完全に解消。
メンテナンス用品は多くあるが、フェルールワックスほど効果が明確なものって無いんじゃないかな。それほどフェルールワックスの使用効果は絶大。
最近になって各社リリースしているマルチピースタイプのパックロッドなんかは特に、フェルールワックスによるメンテナンスは絶対に必要。
そんなフェルールワックス、ロッドを大事にしたいのならばぜひとも使っていただきたい逸品である。
フェルールワックスを使う効果
フェルールワックスを継ぎ目部分に使用する効果は、主に下記の4つ。
・固着防止
・摩耗防止
・破損防止
・使用時の抜け防止
「継ぎ目の部分は精密に作られている」からと、フェルールワックスの使用を勧めない釣具店やロッドメーカーもある。
もちろん、メーカーからフェルールワックスの使用を禁止されており、そうしなければ保証の対象外となるようであれば従わざるを得ないだろうが、継ぎ目部分の構造はどのメーカーもほとんど同じ。
だから、構造上の理由というよりは、単にメーカーの側の好みによるところだろう。
いずれにせよ、継ぎ目部分の微妙な凸凹は、どの継ぎ目にもかならずある。
継ぎ目は曲げた時の負荷が掛かりやすい部分ではあるので、少しの隙間が摩耗を早め、破損を早めることにもつながりかねない。
実際に継ぎ目オス側部分の摩耗が限界点近くまで達したときには、消耗した樹脂を補強する「樹脂盛り」をしてくれるメーカーも中にはある。
ロッドを長く使っていればいつかは樹脂盛りが必要になるだろうが、そんな継ぎ目の消耗を遅らせる意味でも、フェルールワックスの役割は大きい。
ゆえに、ロッドが新品の時からフェルールワックスを使用した方が良いだろう。
ロッドが新品の時からフェルールワックスを使用しているが、現時点でジョイント部分のトラブルはゼロ。
キャスト時に抜けたこともないし、ましてや固着や破損したこともない。新品から使い続けて、ロッドの状態は極めて良好。
他のワックスやろうそくなどでも代用可能?
フェルールワックスの成分は、天然ワックスとパラフィン。
細かい違いはあるにせよ、天然ワックスとパラフィンはほぼ同じと思って良い。
その中でもパラフィンは融点(個体が液体になり始める温度)の異なる種類がいくつもあり、同じ温度下では融点の違いによって柔らかさが異なる。融点の高いものは硬く、融点の低いものは柔らかい。
おそらく、パラフィンの種類や量を調整することで、ロッド使用に最適化されているのだろう。
フェルールワックスの代わりにスキー板に塗るワックスやろうそくなんかがあるが、それらもほぼ同じ成分を使っているので問題なく使えるだろう。
ただし、ろうそくはフェルールワックスに比べて硬いので、外すときはフェルールワックスよりは抜き差ししにくいことが予想される。
スキー板やスノーボードなんかに使用するワックスは、使用する時の気温によって使い分けて滑りの良さや保護性を調整しているので、ロッド専用のフェルールワックスと同じ硬さのものを選べば尚良いだろう。
また、リップクリームをフェルールワックスの代用としているという猛者もいるようだが、リップクリームもパラフィンが主成分であり、フェルールワックスのように人肌で柔らかくなるくらいの硬さなので、充分使えるだろう。
リップクリームを代用するのはちょっともったいない気もするが、へたするとフェルールワックス1本より安いので、これはこれで確かにアリかもしれない。
ようするに、パラフィン系が主原料のものであればどれも代用可能だとは思うが、フェルールワックスじたいが1本1000円もしないものだし、そんなに消費するものでもないので、せっかくだから専用のものを買った方が安心できるでしょう。
それでも「オレは代用品を使う!」という確固たる意志をお持ちの方は、自己責任でどうぞ。
フェルールワックスの使い方
それではさっそく、フェルールワックスの使い方を。
まずはジョイントのオス側表面に、縦方向に滑らせるように塗っていく。
ロッドの太さにもよるが、違う面へ2~3本ほど塗っていく。
そして、塗ったワックスを指の温度で温めながら、横方向に軽く伸ばしていけばOK。
あまり多く塗りすぎるとジョイントのはまりが浅くなって接触面積が小さくなるため、ロッドを曲げた時に逆に負荷が大きくなって破損しやすくなる。だから、ある程度の深さははまるよう、塗り量は適宜調整すること。
さらにまんべんなくワックスが行き渡るよう、ロッドを継ぐ際はねじりながらゆっくりとハメていく。そのときにしっとりとハマればOK。
抜くときもゆっくりとねじりながら、しっとりねっとりと抜けるようであれば大丈夫。
フェルールワックスを塗布する頻度
フェルールワックスを塗布する頻度は、ロッドによってまちまち。
毎日ロッドを使用し、頻繁に抜き差しするのであれば、ワックスの消耗も早まるだろうから頻繁に塗る必要はあるだろう。
方や年数回程度の釣行頻度であれば、数年に1回程度の塗布で済むだろう。
頻度よりも重要なのは、ロッドを抜き差しした時の感触。
ロッドを継ぐ時や抜くときに何の抵抗もなくスポスポっとするようであれば、フェルールワックスの使い時。
劣化したら機能が低下するようなものではないので、新しいワックスを塗る前に古いワックスを取り除く必要は無い。単純に表面のワックスが少なくなったと感じたら上塗りすれば良い。
ただし、表面に小さい砂などの異物が付着している場合は話が別。
ジョイント部に異物が噛んでいると破損の要因になるので、たとえ小さな異物でも必ず除去しておくこと。
ジョイントへの着脱の際、ガイドからひねっちゃダメ!
ジョイントへの着脱の際、ついついやっちゃうのが・・・
このように、ひねって着脱するときにガイドに力を掛けてしまうこと。
着脱にもそれなりの力を加えるので、ガイドへ指を掛けてしまいがちだが、これを何度もやるとスレッドが緩んでガイドが取れることがあるので、注意が必要。
ジョイント近くにガイドがあるロッドではついやりがちなので、思い当たる方は今すぐやめよう。
フィッシンググローブがあると尚良い
ただ、実際の着脱にはそれなりの力が必要で、素手だとなかなかやりにくい。
そんなときに、手のひら側に滑り止めのあるフィッシンググローブを使うと、ジョイントの着脱が非常にやりやすい。
現在使用しているのが、このパズデザインのグローブ。
このグローブは、手のひら側に滑りにくい生地を採用しており、濡れるとさらにグリップ力が増すという優れもの。
釣り場ではこのグローブをしてからロッドを抜き差しするようにしている。
差すときはまだ良いが、抜くときは素手だと抜けにくいことが多いので、このフィッシンググローブは手放せない。
ふだんフィッシンググローブが面倒で使わないとか、フィッシンググローブにまでお金を掛けたくないという人も多いと思うが、フィッシンググローブには滑り止めによる疲労軽減効果や手の保護や保温など、意外と多くの効果,利点がある。
別にパズデザインのものである必要は無いが、この機会にフィッシンググローブの導入をオススメする。
もちろん、フィッシンググローブがなく、ロッドを抜き差しするだけならゴム製のシートや炊事用手袋なんかでもOK。
要するに、滑らないものを使えば大丈夫。
または、こんな商品も↓
継ぎ目が固着して抜けにくくなった時、このロッドエッグを使うと簡単に抜くことができるという、ジャクソンのロッドエッグなるもの。
ロッドエッグは滑りにくい素材を使い、さらに握り込みやすい大きさとなっている。
これのさらに良いところは、ロッドベルトと同様の機能として使え、しかもロッド間が干渉せずに収納できるという、なかなかのアイディア商品。
価格も600円とそんなに高いものじゃないので、いざ抜けなくなった時のために備えておくのも良いね。
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まとめ
今回は地味だけど、とても重要なフェルールワックスについて述べてみた。
ちなみに、ソルトルアーを始めた10年ほど前にフェルールワックスを購入したのだが・・・
過去10年で、これだけの量を使用。
そして、残りはまだこんなに。
へたすればフェルールワックス一本で一生分の量はあるし、価格も800円程度。
たった800円で不意な継ぎ目のトラブルが回避できると思えば安いもんでしょ。
必要性を理解したなら、大事なロッドを折って数万円飛んでしまう前に、フェルールワックスを今すぐ入手しておきましょう!
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