PEラインは、ソルトルアーフィッシングでは必須のライン。飛距離,感度,耐久性、いずれも他のラインを圧倒。
ソルトルアーを始めた頃は、初めてのPEラインに悪戦苦闘したが、今となってはもう欠かすことのできない存在となっている。
しかし、特有のしなやかさが仇となり、エアノットという厄介なトラブルが多いのも、PEラインの現実。
夜中の釣りでエアノットができていることに気づかずにキャストし、その部分から高切れが生じて高価なルアーをロストなんてこともしばしば。
エアノットが頻発して困っている
エアノットができる原因が全くわからない
エアノットや高切れができるのが怖くて、常にフルキャストできない
そんな悩みに、不肖ゆたりなの実体験を踏まえた形で答えていきます。
自分の釣りとしっかり向き合い、エアノットの呪縛から解放されましょう。
過去のエアノット発生事例
まずは、自身が経験したエアノットについて。
初めてPEラインを使った時は鬼のようにエアノットが発生していたが、PE特性を理解してからは、無駄にエアノットが発生することはなくなった。
しかし、それで完全に解消されたわけではなく、ごくまれにエアノットが発生することがある。
そんな中で過去にエアノットが発生した事例は、記憶している限りでは6回ほど。
その時に使用していたPEラインの種類と使用期間,エアノット発生回数は、下記の通り。
・ハードコアX8(デュエル)1.2号 <6か月間> : 1回
・アーマードF+プロ(デュエル)1.0号 <5年間> : 2回
・ボーンラッシュWX8(よつあみ)1.0号 <6か月間> : 2回
・ピットブル8+(シマノ)1.0号 <3カ月間> : 1回
このうち、ハードコアX8で生じたエアノットは、初めての8本撚りPEラインを巻いてすぐのナイト釣行で発生。
現在までもう5年以上愛用しており、自分の中では実績十分のアーマードF+プロでは、2回エアノットが発生。
その中の1回目は、同じタックルでエギングした後にMJリグへと付け替えてキャストした時に発生。もう1回は横風が強い中、逆巻きもして1年以上使い倒し、かなりヘタった状態の時に発生。
今年から使用しているボーンラッシュとピットブル8+は、いずれも横風が強い中で発生。
ちなみに、いずれもリーダーとのノット部分は、必ずガイドに入れていない。
エアノットはどのようにできるか?
エアノットの発生する箇所は、スプールからティップガイドまでの間。
さらにその中でも、大きく分けてスプールからバットガイド付近と、そこから先のガイド間とに分かれる。
スプールからバットガイド付近でのエアノット発生
スピニングリールは巻き取りの際に、ラインがガイドを通過し、垂直方向に巻き取られる。その垂直方向に巻かれたラインは、キャスト時に螺旋を描いて放出される。
だから、スピニングリールでPEラインを巻き取る際にテンションを緩く巻き取ってしまうと、次のキャストの時にその緩く巻かれたラインが引きずられて一気に放出。
テンションがかかっていない状態でまとまって放出されたラインが、ガイドを通過する際に引っ掛かることで急にテンションが掛かって、エアノットが発生する。
ガイド間でのエアノット発生
キャスト時にスプールからPEラインが放出、複数のガイドを通過する。
そのガイドを通過する間にさまざまな要因でラインのたわみが起こる。
そこで後から放出されたラインがたわんだラインを先行し、ガイドに当たる際にラインが重なることで糸絡みが起こり、エアノットが発生する。
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環境要因に対するエアノット防止策
以上のエアノットの発生メカニズムを理解し、さらにこれまでの経験も踏まえて、エアノットを防止するための対策を、改善効果の高い順に挙げてみた。
いずれにも共通することは、ラインテンションを一定に保つこと。
以下のようなラインテンションを意識した対策をすれば、大幅にエアノットを解消できるはずだ。
スプールへ適正量のラインを巻く
スプールの許容範囲を超えて糸を巻きすぎてしまうと、スプールからオーバーした分のラインがキャスト時にまとまって一気に放出され、糸がらみが発生しやすくなる。
適正な糸巻量は、スプールエッジギリギリよりもわずかに足りないくらいに巻くのがよい。
キャスト時は必ずフェザリングをおこなう
キャストによるライン放出時、スプールから放たれるラインが人差し指に軽く当たる程度のフェザリングをすることで、ラインの整流効果が高まり、以後のラインのバタつきが抑えられる。
特に風が強い時は、余計な糸ふけを出さないよう、かならずフェザリングをすること。
フェザリングは最も簡単にでき、ライントラブルの抑制効果も高いので、ぜひ習慣化したい。
フワフワ巻きをしない
スプールへラインを巻くときは、テンションを緩めたフワフワ巻きをしないこと。一定のテンションを掛けて巻き取ることが大事。
特にゆるゆる巻きをしがちなエギングや、軽いルアーを投げた後に重いルアーを投げる時などは要注意。
横風が強くラインが大きくふけるときは、キャストからの着水後にすぐにロッドを立ててラインテンションをかけながら糸ふけを取るよう心がけるとよい。
結束部分をガイドやスプール内に入れない
ロングリーダーを採用している人は、PEラインとリーダーとの結束部分をガイドやスプール内に巻き込んでいる場合が多い。
結び目が最も小さいFGノットでキャスト時のガイドへの引っ掛かりを最小限にしていても、キャスト時にガイドを通る際の抵抗は間違いなくある。
シモリや急なブレイクなどといった根ズレの危険性があるところならば仕方がない。
しかし、ロングリーダーにする理由がなければ、結び目をガイド内に巻き込まないようなショートリーダーにするのも、エアノットを防止する有効な手段の一つ。
ちなみに、この不肖ゆたりなが主戦場としている西湘サーフではロングリーダーを必要としないので、ショートリーダーでノット部分をガイド内に巻き込まないようにしている。
ラインに付着する泡ゴミの除去
ラインに付着する泡ゴミが原因のエアノットは経験したことは無いのだが、エアノットの原因を考えれば、間違いなく起こるはず。
泡ゴミも結束部分同様、ライン放出時にスプールエッジやガイドに当たって抵抗となり、エアノットが起こりやすくなる。
だから、海面に泡ゴミが多い時は、スプールへ取り込む前にこまめに取っておきたい。
ハード面からのエアノット防止策
ラインやロッドなど、ハードを替えることでエアノットを大幅に防ぐこともできる。
基本は上記のエアノット防止策を実施すれば確実に改善されるはずだが、それでも改善が見られないならば、以下のハード面を検討してみるのも良いだろう。
ハリの強いPEラインを使用する
エアノットはPEライン特有の張りのなさによって引き起こされる。それならば、ハリの強いPEラインを選択するのも、エアノットを防ぐ有効な手段。
となると、選択すべきPEラインは以下の2点になるが、それぞれデメリットも存在する。
・ハリの強いコーティング処理されたPEライン
・4本撚りPEライン
コーティングはラインが新しいうちは確かに機能するが、コーティングが剥がれると急激にライントラブルが発生する。コーティングされたPEラインを選ぶ際は、コーティングの長期耐久性というのも一つのポイントとなる。
4本撚りは原糸が太いためにハリを維持しやすいが、糸鳴りが激しい。糸鳴りを気にしない人であれば良いが、気にする人にはちょっと厳しい。
そこで、そんなことも全て解消してくれるのが、デュエルのアーマードF+プロ。
アーマードF+プロについては過去に何度も述べているが、このラインの最大の特長はハリの強い特殊コーティング。
編み込みタイプのPEラインでは無いが、この特殊コーティングによってライントラブル発生を大幅に抑制している。
しかもこのラインのすごいところは、この特殊コーティングの長期耐久性の高さ。
1年間使用しても、ハリとコシがほとんど落ちない。色落ちすらほとんどしないという、強固なコーティング耐久性を持つ。
先ほど挙げたPEラインの使用実績の中で、アーマードF+プロは最も長く(5年間)使用しているが、過去に起こったエアノットはたった2回。
そのうちの1回は自分のミスでフワフワ巻きしすぎによるもの。もう1回は、1年以上使い続けてラインがかなりヘタった状態の時に、強風下で釣りをしたときに発生したものなので、通常の使い方では大きなライントラブル発生は極めて少ない。
しかもこのアーマードF+プロは、編み込み式のPEラインのようなガイド擦れによる糸鳴りが全く無い。
さらに強風下ではキャスト時にラインが大きく煽られないので、エアノットが起こる要因を確実に抑えることができる。
ライントラブルを高い次元で解消したいのであれば、個人的にはアーマードF+プロが断然オススメ。
このように間違いなく良いラインなんだけど〜・・・200m巻の販売がなくなってしまったのは、とても残念でならない。
アーマードの上位モデルであるF+プロは200m巻が絶版になり、下位モデルでは200m巻があるという、謎のラインナップとしているデュエルの販売戦略には理解不能だが・・・まぁ、ライントラブルが極端に少ないから、150m巻きでもそんなに不便は無いかもだけどね。
200m巻の復活を望みつつ、現状は150m巻で我慢しましょうかね。
ラインローラーを替えてみる
過去のエアノット発生事例をラインローラーに着目すると、このインパクトのラインローラーを使ったときには過去にエアノット発生は一度も起こっていない。
【関連記事】
>> ぼくがラインローラーインパクト(iosファクトリー)で実感できたこと(2020/12/16)
実は、さきほど示したエアノット実績の中で、ボーンラッシュで生じた2回ともリールはレアニウムci4+、しかもその時のラインローラーはいずれも標準(1BB)仕様のときのものだった。
2回のエアノットが起きる前に使用していたラインローラーは、iosファクトリーのラインローラーインパクト(2BB)を使用していたのだ。
インパクトが標準のラインローラーと異なる点は、独自のラインローラー形状と2BB化。この2点。
その2点のどちらか、もしくは両方の相乗効果によってエアノットの生成を防ぐ効果はあったのかもしれないね。
ラインローラーによるエアノット発生データが乏しいので、はっきりと断定はできないが、ラインローラーを替えてみるというのもエアノットを防ぐ有効な方法かもしれないね。
インターライン,多点ガイドロッドを使ってみる
ガイド間の糸ふけがライントラブルの原因であれば、ロッドの中をラインが通るインターラインロッドを使用するのも一つ。
インターラインロッドなら風の影響を受けることはないし、そもそもガイドが無いので、ガイドが原因のライントラブルはゼロになるはず。
ゼナックのRGガイドシステムや、最近聞くようになったストローガイドセッティングといった多点ガイドを採用したロッドも、ラインのたわみやバタつきを抑える効果が高いので、インターラインロッドと同様の効果を得ることができる。
【参考記事】
>> インターラインシステムを取るべきか、RGガイドシステムを取るべきか、それが問題だ(2018/5/9)
エアノットが多発する人は、ぜひ参考にしてみて!
以上、エアノット発生のメカニズムと自身の経験を踏まえ、考えうるエアノット予防策を挙げてみた。
言いたかったことは、まずはトラブルの発生メカニズムを理解した上、可能性のある原因のアタリをつけて検証し、それらを一つ一つ潰していくことが、原因究明をする上では必須ということ。
正しい知識と正しい対策で、ストレスフリーの快適な釣りを楽しみたいものですな!
【関連記事】
>> サーフ,ハタゲーで実践しているラインシステム,ラインメンディング等の注意点(2019/5/13)