スピニングリールに搭載されているラインローラー。
ラインローラーは回収したラインの巻き角度を変え、スプール内にラインを収める役割があるが、ラインを伝った海水が最初に触れる部分でもある。
そのため、ボールベアリング搭載のラインローラーでは塩噛みによるトラブルが最も発生しやすく、リーリング中にけたたましいシャリ音が響き渡るので、トラブル発生が分かりやすい箇所でもある。
そのほかにラインローラーの性能を高めることで、ラインの摩擦を抑えたり、糸ヨレの発生を抑えることもあるだろう。
そんなスピニングリールの重要な役割を持つラインローラーだが、今回は最も注目される防水機構とメンテナンス性,ラインローラー形状の3つに焦点を当て、ダイワ製とシマノ製のラインローラー対決を試みたいと思う。
なお、今回のラインローラー対決では、ダイワはマグシールド搭載機種,シマノはXプロテクト搭載機種を対象とする。
防水機構
ラインローラーの防水対決は、以前にも記事にしたが、ここで再度確認。
ダイワのラインローラーに採用されている防水機構は、言わずと知れたマグシールドボールベアリング。
ボールベアリングの隙間をマグオイルでシールドすることで、ボールベアリング内への海水や異物の侵入をシャットアウトする構造となっている。
ダイワはマグシールド構造を「非接触」としているが、被膜であろうがオイルで接触しているので、厳密には接触防水。
だから、マグシールドが機能してさえいればボールベアリング内に海水は侵入しづらくなるものの、マグオイルの抜けなどで機能しなくなれば、容易に海水はボールベアリング内に侵入してしまう。
一方のシマノに採用されている防水機構は、Xプロテクト。
Xプロテクトはマグシールドのようにシールドするのではなく、隙間を迷路のように複雑にして、海水や異物がボールベアリングまで到達しにくい構造としている。こちらは非接触防水。
しかし、Xプロテクトはいくら隙間が迷路のような構造になっているとしても、いったん隙間に海水が蓄積されてしまうと、ボールベアリングまで到達するのは時間の問題。
そこで、海水が侵入する隙間を防水グリスで埋めることにより、マグシールドに近い接触防水にすることができる。
そんな両者の防水機構、どちらが機能面で優れているのか?
こればかりは、釣りをするフィールドや頻度、使い方にもよるだろうから、一概には言えないだろうね。
それこそ、『ラインローラーの防水機能対決』なんて企画を、雑誌や釣りビジョンなんかでやってみるのも面白いよね。
それこそ、釣り系youtuberなんかがやってくれないかな。試験条件の設定が難しいとは思うけどね。
メンテナンス
ダイワのマグシールドラインローラーは完全メンテナンスフリーで、自己メンテナンス禁止。
ということは、ボールベアリングのトラブルが出るまで何のメンテナンスもできないことになる。トラブルが出たら、メーカーのオーバーホールへ依頼することになっちゃうね。
となると、ダイワのラインローラーは完全にマグシールドだけに頼りっきりになってしまうよね。
一方のシマノのXプロテクトは、自己メンテナンス可能。
Xプロテクトのラインローラーは、極端に言ってしまえば、ボールベアリングに海水が侵入する手前で自己メンテナンスしておけば、メーカーのオーバーホールへ依頼せずとも、長期間ベアリングのトラブルを回避できることになる。
だから、シマノのラインローラーはメンテナンスをこまめにしておけば、マグシールドよりもボールベアリングが長持ちする可能性は高い。
もちろん、自己メンテナンスができればオーバーホール依頼の頻度も少なくなるので、メンテナンスコストも大幅に抑えることができる。
マグシールドラインローラーがメンテナンスせずとも1年も2年も機能するのであれば話は別だが、メンテナンスが自分でできるという点においてはシマノのラインローラーに軍配。
ラインローラーの形状
次に、ラインローラーの形状について。
シマノのラインローラーは、写真のようにラインがぴったり収まる浅い溝がある。
リーリング時にPEラインがこのラインローラー上の溝に常に通っていれば良いのだが、実際は溝を通っていないことが多い。
実際にPEラインがラインローラー上どころか、ラインローラーとアームカムの間に挟まっていることがあり、リーリング時にPEラインが擦れているということもあった。ハンドルを回した際に、手元に伝わるゴリゴリ感がまさにそれ。
この現象の解決策は、アームカムを止めてあるねじを緩めるという、意外なもの。おそらく、アームカムの微妙な角度がラインローラーに掛かるラインの位置を決めていると想定されるが、PEラインがおさまるべきラインローラー上に乗らないという、ラインローラーの構造自体に問題があると思う。
>> シマノへ解決策求む ラインがラインローラーとカムへ食い込むぞ!(2017/4/24)
>> ラインがラインローラーとカムへ食い込む問題 解決か?(2017/9/29)
この問題を取り上げているブログは少ないが、この問題を取り上げている記事へのアクセス数の多さを見ると、少なからずそれで悩んでいる人は一定数いるはずだ。シマノがなぜ「再現性が得られない」と、この問題を直視しないのかが理解できない。
対してダイワのラインローラーは、写真のようにアームカム側が高く、ベール側が低く大きな段差がつけてある。
そのため、キャスト後にベールを元の位置に返した際に、ラインがベールを伝ってラインローラ上のベール側の定位置におさまる。
だから、シマノのラインローラーでよく発生する、アームカムとラインローラーの間の隙間にPEラインが挟まるという現象が起こりにくい。
このダイワのラインローラーのように落差の大きな段差をつけるか、溝までの傾斜角度を大きくつければ、シマノリールのようなトラブルが発生することは少なくなると思うのだが、シマノ側はそのトラブルを本当に認識していないのか、一向に改善されない。
以上より、ラインローラーの形状に関しては、ダイワのラインローラーに軍配。
けっきょく、どちらのラインローラーが秀逸?
今回はダイワ,シマノ両者のラインローラーに注目して比較してみたが、単純にどちらが優れているとは言い難い。
マグシールドラインローラー搭載のリールを使ったことがないので厳密な評価はできないが、ネット上での評判を見るとマグオイル漏れがすぐに発生しているものもあれば、長期間機能を維持できているものもあるようだね。当たり外れが大きいのかな?
いずれにせよ、個人的にはダイワのラインローラー形状にシマノのXプロテクトが搭載されていると良いんですがね。「足して2で割った」みたいな。
もちろん、ラインローラーにボールベアリングではなくて樹脂製潤滑カラー派もいるだろう。今回は樹脂カラーのことは入れなかったが、そこらへんはまた別の機会に注目してみたい。
そんなスピニングリールのラインローラー。ダイワとシマノ、あなたはどちらのラインローラーがお好み?
そんなところにも注目して、リールを選んでみるのもいかがでしょうかね!
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