【スピニングリールのライントラブルレス対決】シマノ v.s. ダイワ

釣り雑感

以前にもスピニングリールのスプール形状対決ということで、シマノv.s.ダイワという記事を2018年ごろに入れたが・・・

すでに時は経ち、今や2022年。

特にシマノは、フラッグシップの’22ステラで大幅なライントラブル対策機能を新たに搭載。

満を持して、シマノはかなりぶっ込んできた。

ダイワもフラッグシップの’22イグジストで大幅な改善を施したが、どちらかというと使い心地やバランス改善に重きを置いたため、一見すると’22ステラより見劣りするようにも思える。個人的には’22イグジストの方が好みではあるが。

これまではスピニングリールのライントラブル対策といえば、主にスプール形状が注目されていた。

シマノといえば、エッジ部分が特徴のAR-Cスプール。

一方のダイワは、逆テーパーが特徴のABSスプール。

今回はちょうど’22ステラが万全のライントラブル対策を施した機種となったので、これを機会に改めて記事をリライト。

これまでの自らの経験も加えて、両メーカーのスピニングリールのライントラブルレスについて、できるだけ客観的な比較,評価をしてみたい。

とはいえ、完全にこの不肖ゆたりなの偏見も入っていることをご理解いただき、本記事をご覧いただきたい。

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スプールエッジ形状

シマノのAR-Cスプールの大きな特徴。

それはこのように、スプールエッジに角度が付いていること。

シマノのAR-Cスプールでは、スプールエッジに角度をつけることで、放出されたラインがエッジに沿うように放出。

適度な摩擦抵抗により、キャスト時のライン放出を整えることでライントラブルが少なくなるというもの。

さらには、これによりラインの放出角度が抑えられるので、飛距離がアップ。

つまり、このエッジ角度を設けたことにより、飛距離アップとライントラブル減を両立させたということになる。

一方のダイワ。

こちらも’18イグジストや’19セルテートあたりから採用のLC(ロングキャスト)-ABSを採用。

2つの段差を設けることで、糸巻き量の目安をわかりやすくしたとのダイワ側からの説明。

写真は’19セルテートのものであるが、AR-Cスプールとエッジ部分をこうして比べてみると、エッジ角度がほぼ同じようであることがわかる。

ダイワ側の本心は定かでないが、結果的にはシマノのAR-Cスプールのエッジ形状に近づいたわけだ。

これによってAR-Cスプールと同様にキャスト時のライン放出角度が抑えられるので、ライントラブル減少と同時に飛距離アップも期待できる。

スプール角度

ダイワのABSスプール最大の特徴といえば、逆テーパー形状。

出典:ダイワHP

逆テーパー形状は、ライン放出時に適度なライン抵抗を掛けることで、キャスト時のライン放出を整え、ライントラブルが少なくなるというもの。

一方、シマノのAR-Cは、テーパー角度なしのストレート構造。

 理屈だけで考えるなら、AR-CよりもABSの方がライン放出時の抵抗がかかるわけだから、飛距離はAR-C,キャスト時のトラブルレスではABSといったところだろう。

ただ、これまで使っていた’17ツインパワーXDとサイズが違うものの、今年から使っている’19セルテートとそんなに変わらないかな〜といった程度の印象。

実際にトラブルレスの差を体感できるほど感じたことはないし、ダイワのABSスプールもわずかな傾斜角度で逆テーパーと言えるほどでもないので、飛距離でそう大きな差が出ることはなさそうだ。

’22ステラから採用のライントラブル回避機構

これまではダイワ,シマノ共にかなりライントラブルは軽減され、通常使用ではほとんど発生しない。

ライントラブルの頻度も両者ほとんど差がないほど違いは見られなかったが、’22ステラの出現でこれまでの均衡が大幅に崩れる可能性も。

というのも、’22ステラでは新たなライントラブル軽減機構を一気に複数盛り込んだから。

これらがうまく機能し、下位機種にまで継承されれば、大輪を大きく引き離して独走となる可能性大。

その各機構について、以下説明していく。

アンチツイストフィン

シマノでは今回の’22ステラから採用された、アンチツイストフィン

出典:シマノHP

普段ステラなんかまったく眼中にはなかったが、このアンチツイストフィンはかなり心動いたね。

スピニングリールはキャスト後にベールを戻す際、ラインがベールを伝ってラインローラーにスルッと収まるわけだが、このアンチツイストフィンでラインローラー近くの隙間を狭めることで、ラインが緩んだままスプールへ巻き取られることを防ぐためのもの。

出典:シマノ

このアンチツイストフィンの隙間を通ってラインローラーへラインが収まってさえいれば、多少ラインが緩んでいてもスプールからラインローラーまでの間にあるラインは一定のテンションは保てるので、ピョン吉等のライントラブルが減るというもの。

これはナイスアイディア。これはぜひとも試してみたい!

ただ・・・どっかのブログかyoutube動画で見たんだけど・・・

このアンチツイストフィンに近い形状は、これまでのシマノリールでも搭載されていたようなんだよね。

この部分のシマノとダイワのリールで比べてみると・・・

↑こちらがシマノ(’17ツインパワーXD)


↑こちらがダイワ(’19セルテート)

ほら。シマノリールは知らぬ間にアームカムとベールの間がこんなに狭くしていたのに対して、ダイワは現在もこの部分が広いまま。

’17ツインパワーXDも、この部分をよく見るとアンチツイストフィンのような突起があるが、実際にラインを緩めてみるとズルッと落ちてしまうので、今回のステラにあるアンチツイストフィンほどの効果はほとんどない。

これまでのシマノリールでは、アンチツイストフィンのような機能はほとんど期待できないだろう。

とにかくこのアンチツイストフィンの出現は、スピニングリールの機能としてかなり有利に働くだろう。

ドラグノブ周り

これまでのシマノリールでは、ライントラブル対策としてドラグノブに注目することはなかったが、’22ステラからドラグノブを低く設定し、スプールエッジにできるループ、いわゆる「ピョン吉」の発生を抑えることができるという。

出典:シマノHP

しかし、そこってダイワからしてみたら、以前から低いドラグノブ設定となっていたよね。

↑こちらは、’19セルテートのドラグノブ。ほら、低いでしょ。


↑ちなみにこちらは、’11フリームス。写真のアングルが悪いが、こちらのドラグノブも低く設定されている。

まだ使い倒すまで至ってはないが、’19セルテートでキャストを繰り返してみると、たしかに「ピョン吉」現象は起こりにくいかな〜といった印象はある。

実際に「ピョン吉」が起こりそうになると、低いドラグノブのおかげでスルッとラインのたるみがほどける。これは実際に体験済み。

たしかにドラグノブを低く設定するという効果は、間違いなくありそう。

ただ、’19セルテートであっても、さすがに軽いルアーでゆる巻きを多用すればピョン吉現象は多発する。これは先日のホタルイカパターン釣行でも経験済み。

なにをするにも、ゆる巻きすればトラブルになりやすいってことかな。

トラブルレスはどっちに軍配?

さて、結局のところ、原稿のスピニングリールでシマノとダイワ、どちらがライントラブル回避性能に優れているのだろうか?

以前はAR-Cスプールのシマノに軍配が上がると思っていたが・・・シマノリールばかりを使っての感覚でそう思っていたが、’19セルテートを使ってからの感想としては、現時点ではほぼ同等かなと。

シマノはドラグノブを改良したことでダイワ寄りに、ダイワはスプールエッジ角度を設けたことでシマノ寄りになり、結局はお互いの良いところを取り入れての似たような構造となったわけだ。

ただ、アンチツイストフィンなどのラントラブル対策を施した’22ステラの出現によって、これまでのライントラブルが劇的に減るんじゃないかなと。

’22ステラの具合によってはシマノが大勝ちとなる・・・かもしれないね。

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まとめ

今回の’22ステラは、ライントラブルを徹底排除するための新たな機構をふんだんに採用。

その中でも個人的に注目しているのが、アンチツイストフィンの効果。
これが実際にかなりの効果があるのなら、ダイワも近いものを出してくるかもしれない。

そして、ライントラブル対策ではないが、’22ステラのスーパースローオシュレート機能の再採用。これが吉と出るか、凶と出るか?

スプールを上下動(オシュレーション)を極端に遅くすることで平行巻きを実現するわけだが、この機能そのものは飛距離アップに寄与するものであって、ライントラブルを軽減するものではない。

過去に出たミレニアムステラでは、このスーパースローオシュレートを採用。ラインが食い込んでライン放出時に過度な抵抗が掛かり、ラインの束が放出されて糸絡みトラブルが頻発したようだ。

その後シマノはスーパースローオシュレーションを封印。その後新たにスプールエッジに角度を設けたAR-Cスプールが登場により、ライントラブルが激減したという経緯をたどったわけだ。

今回の’22ステラでスーパースローオシュレーションとAR-Cスプールとの初組合わせで、キャスト性能とトラブルレスを高次元に両立できるのかにも注目したい。

そして、このスーパースローオシュレートの機能をダイワが追従するかだが、おそらくそれは無いかな〜と。

なぜなら、平行巻きをダイワが導入しちゃったら、これまでのアンチバックラッシュ機能の一つである「クロスラップ」を否定することになっちゃうからね。

ラインの食い込まないようクロスラップを採用したのだから、食い込みやすい平行巻きを採用してしまったら、ダイワが採用したクロスラップを否定することになる。
この平行巻きへの追従については、ダイワは固辞するのではと予想している。

ダイワのHPにも書かれているが、ABSは大口径と逆テーパー,クロスラップの3つの機能が軸となっているわけだから、ここを崩すことはダイワ技術の敗北を認めてしまうようなもんだからね。

さぁ、’22ステラの出現で、今後のライントラブル対決が面白くなってきましたね〜。

一方的にシマノの圧勝になる可能性もあるし、その反対に一方的にシマノの惨敗となる可能性も。

いずれにしても、今後も特許等に抵触しない程度にお互いの良いところを取り入れ、ライントラブルなく使いやすいリールの開発をしてもらいたいもんだよね。

もうスピニングリールの技術開発も頭打ちと思っていたけど、こう見るとまだまだ向上する余地はありそうだね。

こちとら現時点で’17ツインパワーXDと’19セルテートで満足しちゃっているので買い替えるつもりはないけど、もし買い替えるとしたら大幅な改善があったときになるかな。

10年後になるか、さらにその先になるか。

スピニングリールのライントラブルが完璧に抑えられるような未来は来るのでしょうか?

今後も注目です!

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