PEラインとリーダーを結束するためのノット。
中でもFGノットは、高い結束強度と結び目の小ささから、PEラインを使用した釣りには欠かさないノットとなっている。
そんなFGノットだが、安定した強度が得られないと嘆いている人も多い。
立体的でわかりやすい動画↑
不肖ゆたりながやってるやり方↑
堀田式↑
このように、youtubeなどでFGノットの組み方やコツを解説しているものも多くあるが、それでもFGノットで悩んでいる人は後を絶たない。
なーんてことを言ってはいるが、この不肖ゆたりなも別にノットのエキスパートなわけではないし、ノットの種類なんてそんなに知っているわけでもない。
これまで覚えたノットなんて、せいぜい電車結びやダブルライン,FGノット,FFノットくらい。
FGノットが特別詳しいわけではないし、FGノットに特別なこだわりがあるわけでもない。
しかし、FGノットを組むにしても、各工程の意味をそれなりに考え、理解はしているつもり。
単に結束方法だけを理解したところで何の意味もない。
「この工程は、なんのためにあるのか?」
「どうしてこんなことをするのか?」
・・・等、常に考えながら、意味を理解することが大事。
堀田式だろうと何式だろうと、方式などは関係ない。
手編みだろうとノッターを使おうと、手段も関係ない。
FGノットのやり方の解説ではなく、FGノットを組むうえで自分なりに考えた押さえておくべきFGノットの勘所を、ここで大胆に述べてみたい。
FGノットで強度を出すための勘所
1. 編み込み工程
まずは最初、リーダーへPEラインを編み込む工程。
この編み込み工程をいい加減にやると、引っ張った時に編み込み部分に均等に力が掛からないため、特定の結束箇所に応力が集中して破断しやすくなる。
編み込む際は、一回一回キッチリとテンションを掛けて編むこと。ココが一定強度を出すためのポイント。
編み込みによってPEラインがリーダー表面に密着するわけだが、リーダー本線とPEライン本線を引っ張った際、編み込んだ箇所へ均等に負荷を分散させることが理想。
だから、編み込み回数が少ないと、一編みあたりの負荷が大きくなるので強度が保持できない。
かといって、逆に編み込み回数を多すぎると、編み込み操作が甘くなりがち。
一編みごとの負荷にムラが生じやすくなり、これまた強度を保持しづらい。
一定の強度が保てる編み込み回数は個人差はあるものの、だいたい15回前後でやっている人が多いようだ。
自分は編み込み回数の違いによる強度測定などはしたことがないが、編み込み回数は17回で決めている。
2. 仮止めから締め込みまでの工程
編み込んだ後は、PEライン端部でハーフヒッチによる仮止めをおこなうが、このハーフヒッチも重要なポイント。
このハーフヒッチを強く締めすぎてしまうと、PEラインが交差している部分で擦れによる摩擦熱が生じ、PEラインに傷が入りやすくなる。
ご存知のように、PEラインは摩擦に弱い。
したがって、仮止めのハーフヒッチは「軽すぎず、強すぎず」。
急な力を加えず、7割程度の力で結ぶイメージでおこなうと良い。「7割」という表現は適切ではないかもしれないが、要するに全力で締めすぎないということ。
仮止めのハーフヒッチは、そんなに強くやる必要はない。
それよりも全力で締め込むのは、このハーフヒッチの後。
ハーフヒッチの仮止めができたら、リーダーとPEラインの本線どうしを20~30秒程度時間をかけてゆーっくり徐々に締め込み、最後の方は全力MAXで締め込む。
締め込みの目安は、編み込んだ部分のPEラインの色が変わるくらい。
充分に締め込んですっぽ抜けなければ、FGノットの80%は完成したようなもの。
3. 複数ハーフヒッチからエンドノットまで
その後は人によってやり方が異なるが、たいていはハーフヒッチを複数繰り返してエンドノットで終了となる。
ハーフヒッチを数回程度にしてエンドノットにする人や、ハーフヒッチの部分をPEライン単線のところまで長めにとる人もいる。
ここも油断せず、ライン同士で摩擦が起きないよう、急な力を加えずに結んでいく。
リーダー端部をライターで炙る必要ある?
本線どうしの締め込みがきっちりできていればすっぽ抜けることはないが、ここで保険をかけてリーダー端部をライターで炙ってコブを作る工程がある。
このコブを作る工程はやる人とやらない人とに分かれるが、個人的にはやらない派。
というか、むしろやらないほうが良いと思っている。
その理由は、簡単。
ライターを近づけるので、PEライン本線へもダメージを与えてしまう危険性が高いから。
仮にコブが機能してすっぽ抜けを防げたとしても、そもそもが締め込みが完全でなかったからPEの編み込みがコブまで移動したわけで、この時点でFGノットの機能を成していない。
そんな保険をかけるくらいなら、もっとFGノットを完璧になるくらいまで繰り返し練習した方がはるかに良い。
コブについてはいろんな意見があるだろうが、余計なことをして逆にラインブレイクのリスクを冒すくらいなら、やらない方が無難だと、個人的には思う。
ハーフヒッチやエンドノットをきつく締め込まない理由
注意点は、PEラインによるハーフヒッチやエンドノット。
ハーフヒッチやエンドノットで締めすぎると、PEライン同士の摩擦で弱くなり、切れやすくなる。
リーダーの切れ端部分からのスレを防ぐために、PEライン本線へハーフヒッチを繰り返しおこなう人がいるが、逆にPEライン同士の擦れる箇所が多くなる。
結束箇所を濡らしたり、締め加減に注意するのであれば良いが、こうした摩擦の機会を多くするのは、個人的にはあまりオススメしない。
結び目の解けるのを防止するためであれば、4回程度のハーフヒッチで充分だろう。
FGノットは「反復練習」が必須
結束方法のようなアナログな操作は、単純に操作を覚えれば良いというわけではない。
結束強度が高くて結び目が小さい。それがFGノットの最大の利点。
その一方でFGノットの欠点は、充分な強度を得るのに多少のノウハウが必要になること。
そのため、個々の経験と試行錯誤が必要であり、FGノットで常に充分な強度を得るためには、ある程度の期間を要するわけだ。
そこでノウハウを得るためには、反復練習がどうしても欠かせない。
そのノウハウは上記で挙げた3工程に分けられるが、どちらも高いレベルでできていないと、満足な強度が得られるはずがない。
環境を整え、気持ちを落ち着かせることも必要
精神論や環境なんて一見、結束には関係ないと思われるだろう。
ノットごときでそんなことを指摘する人はいないと思うが、実は大いに影響する。
ナブラを見かけて気が焦りながらFGノットを組んで、その後のキャストで高切れをおこした経験のある人も多いだろう。
また、強風下で組む際、軽いPEラインが煽られ、なかなか思うようにノットが組めなかった経験のある人もいるだろう。
寒さで手がかじかんだ時も思うように指が動かず、ピロピロのPEラインをうまく操作できないために、最後は面倒になっていい加減な結束にした経験のある人もいるだろう。
現場の環境を選ぶことは難しいが、できるだけ外的要因が受けにくい環境で、心を落ち着かせて、焦らずじっくりと組む。
これも、安定したFGノットの強度を組む際はとても大事な要素。
まとめ
以上、常に高いレベルで強度をキープするためのFGノットの勘所をいくつかあげてみた。
逆に言うと、FGノットの強度を落とす要因はそれだけ多いということ。
結び目をガイドに入れなくて良いのなら、・・・本ブログで何度も紹介している、FGノットと同じ摩擦系ノットの「FFノット」が良い。
FFノットはFGノットほどのノウハウや厳密さを必要とせず、誰でも安定した強度を出せる工夫がなされているので、まずはFGノットを覚えるまでの最初のステップとしてやってみるのも良いだろう。
そして何より、FFノットはすっぽ抜けが起こらない。
いずれにしても、FGノットは単にやり方を覚えるだけではダメ。各工程の意味をしっかり理解し、一つ一つの動作をていねいにおこなうことが大事。
「FGノットで思うような強度が出ない」
「安定した強度が出ない」
そんな方は本記事を参考に、どの工程に原因があるのかを考えつつ、FGノットの練習すると良いだろう。
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